白亜の館 〜 砂漠の王と氷の后より

      *砂幻シュウ様 “蜻蛉”さんでご披露なさっておいでの、
       勘7・アラビアン妄想設定をお借りしました。
       砂漠の王国を知略と武力とで堅牢に治める賢王カンベエと、
       傾城の佳人、氷の姫と謳われた美しき后シチロージ…という、
       勘7スキーには そりゃあ垂涎のお話ですvv
       そういう設定はちょっと…という方は、自己判断でお避け下さい。
 


 金銀煌く装飾品や、百彩夢幻と様々な色柄透かす絹地の更紗。艶めく香油に琥珀のお酒、砂糖をふんだんに使った高級な練り菓子に、無花果の葉っぱに包んだ肉に魚にと、何でも揃った市場の雑踏を、様々な売り声が入り混じって垂れ込める。笑いさざめく女たちは、髪や肢体を護鎖の下がったチャームで飾り、膨らんだズボンをサッシュで絞った男らは、時には喧嘩腰になって売値を競う。街角には支那の妖しい旋律を背景に奏で、婀娜な色香を振りまく踊り子が、陽やけした腹もあらわに恋の歌を舞い踊る。そんな喧騒が遠くにぎりぎり聞こえるその屋敷は、ご城下の場末になろう大路の端の端、随分と外れた辺りに位置していて。一体どこの誰の持ち家なのか、どんなお人が住まうのか、近隣の住人たちも全くの全然知らないままらしいという不思議な言われようを何年も何年もされ続けている。というのが、邸内が伺えぬほどの高い塀に囲まれていたこともあり、人の出入りを誰もはっきりとは見たことがなく。

 『でもね、屋敷は大理石で出来てるっていうし。』
 『そうそう。それにこの塀だって、贅沢にも漆喰塗りだ。』
 『庭の手入れが放り出されちゃあいるけれど、
  それだってわざとだって訊いた事があるよ?』
 『なんでまた?』
 『決まっているだろ? 中を覗かれないためにさ。』

 厳密に言えば、ほんの時々、人目を避けるようにして出入りする気配がなくもない。第一、そうそう何年も何年も、誰にも判らずじまいでいられるものか。これでも一応は覇王のおわすご城下の中の土地。真に空き家であったとしても、怪しい気配が出入りしの、そのままこそりと潜んでいようものなら、それは どこぞかの敵が放った間者かも知れぬ。そんな輩は放っておけぬと、その筋の調べが必ずのきっと入るに違いないというもので。だってこの街の高みの王宮におわすのは、それはそれは優れた覇王様。人々を恐怖で縛るよな、有無をも言わさぬ力づくの統治こそなさらぬが、随分な知恵者でしかも人望もずんと厚いお人。王の手は汚させずの、代わりに何でも致しましょうと、命じられずとも手を打つ存在には事欠かぬ。そんな御主の膝下近くへ、怪しいものをば放置は出来ぬと、誰もが眸を配っておいでな筈だから。戦さも政争も知らぬよな、賢
(さか)しくても限度のあろう一般の民らが怪しいと思うもの、彼らに気づかれぬはずはない。

 『じゃあ、大した人物じゃあないってことかなぁ。』
 『そうなるかねぇ。』
 『王がお抱えの貿易商とか。』
 『そういや、なかなかに体格のいい男が、門前へ見張りに立ってるときがあるよ?』

 ああ、それじゃあ もしかしてどこぞかの金満家が別邸にしているのかもしれないねぇ。別邸? あんなむさ苦しいままでかい? だから、誰の目にも留まりたかない使い方をしているのさ。あ…まさか、浮気かね? さぁてね。だが、それだと大罪に値する。隠したくなる気持ちも判るが、まさかにご城下でそこまではするまいよ。

 『あれじゃあないか。
  新しい若い妻との逢瀬を、古いほうの奥方に見せたかないとか。』
 『おやまあ、そりゃあ一体どこの豪商の旦那だね。』

 あまりにしっぽりとした熱烈な濡れ場だったんで、悋気を起こした古女房が殴り込んで来た覚えがあるとか。あはは、そりゃあいいねぇ、などなどと。街の噂好きどもが、好き勝手を言っては邪まな目で見てもいた古屋敷。言われてみれば、ターコイスの空へまで届けとばかりに伸び放題なナツメヤシの葉が、高い高い塀の先から覗くほどにもなっており。連日いいお日和続きで暑いだろうに、窓やら戸やらの開け閉めの音は勿論のこと、人声も立たぬままな日の方が多いところから。子供たちからはすっかりと、化け物屋敷扱いになってもいるくらい。ある意味での肝試し。裏の方へと回ったところの、勝手口なのか小さい戸口がある辺り。塀がちょっぴり低いので、ハシゴをかければ登れなくもない。そこから中へ入ってって、大門から出て来られるかなんてこと、賭けた子供らが昔にいたが。挑戦した子が出て来なくなっての、そのまま神隠しにあった…なんてな怪談が、実(まこと)しやかに語られてもおり。

 『いいね、あの家へは近寄っちゃあいけないよ?』

 どの家のどの子も例外なく、同じことを言い聞かされて育っていたものの。

 “…でもなあ。”

 水売りの子だけは、そんな噂にもずっとずっと半信半疑だ。だって彼は見ちゃったから。一番年嵩の兄さん(あにさん)が、その館からの注文があってのこと、よく冷えたいいお水を樽で幾つか運び入れた機会が何度かあって。その折に、手押し車を押すのを手伝えと駆り出され。皆が恐れる化け物屋敷に、どきどきしながら踏み入ったことがあったのだけれど。それほどの恐ろしい気配なんて、てんでしなかったのだもの。

 『…わあ。』

 確かに、塀へと近い辺りはてんで手入れもされない荒れよう、ジャングルみたいな有り様だったが。真っ白い石作りのお屋敷は、打って変わってそりゃあ綺麗で。熱よけのための分厚い壁を刳り貫いた窓は小さいので、中までの見通しはあまり利かないが。荷を運び入れるのにと通された、恐らくは下仕えの部屋でさえ、漆喰の白が目映いほどに塗られた清潔なそれだったし、なればこそそんな窓の横手や縁の厚みへ反射する光のせいで、室内は十分に明るくもあり。

 『凄いな兄ちゃん。』
 『馬鹿だな、このくらいは当たり前だ。』

 ご主人の部屋はもっと凄いぞ。壁掛けには贅沢な段通が幾つも提げられ、陽除けの更紗が五色七彩に重なった、天蓋つきの寝台には、奥方のものだろか、ナツメほどもある宝石のついた鎖飾りが無造作に置かれてて。金の腕輪や首飾り、ローブの下へじゃらじゃらと忍ばす女性は珍しくもないが、髪へとまわした かづき押さえのティアラの端、額のところへ金剛石を据えるほどもの贅沢は、よほどの金持ちじゃあないと無理な話で。

 『そんな贅沢をしている奥さんだったんか?』
 『いや、まあ。本人は拝んではないけどな。』

 やはり置きっぱだったのを見ただけのこと。格のある家のご婦人が、そうそう よその人間へ姿を晒すかと。そこはそんな風に言われたので、ああそうか、ご本人は見ちゃあいないのかと思う反面、

  ―― でもでも、
     たかだか下々の水売りの子供らを相手に、
     そこまで徹底するだろか。

 お庭へ迷い込んだ子犬のようなものとして。お手伝いなんて微笑ましいことよと、駄賃や砂糖菓子など、こっそりとくださったお家だってあったほど。とはいえ、それを言ったら…それこそただの水売りを相手に、主人筋の存在がわざわざ居合わせるのも妙な話で。

 「……お、しまった。」

 今日も今日とて、そのお屋敷への配達中。お勝手の隅へ満タンの樽を据え、それと引き換えに空の樽を引き取って帰るところまでがお務めだったが、

 「おい、新しいそそぎ口を取って来ておくれ。」

 痛んでいるのを気づかずに、そのままそそいで持って来たようで。そこだけの交換といこうということか、連れのチビさんへそんな指示を出した兄さんへ、うんと頷いた坊やが、とたたと外へ。やがては自分も同じ仕事をすることとなる身。今からいろいろ覚えるためだとついて来ている身だったからね、お外じゃあ兄さんが師匠も同じ。同じことで何度も叱られるようでは、外回りには連れ出してもらえなくなるからと、出来得る限りのてきぱきと駆け回る坊やだったが、

 “…あれ?”

 裏のお庭に引き込んでた手押し車。その傍らに立つ人影があった。この屋敷の人なのか、それほど着込んではないままだったが、それでもその姿をくるんだ透き通ったベールは上等の絹で、しかも禁色の紫紺。王后様がお好きなお色なのでと、他の人は使ってはならぬとの下知が回っているはずなのにな。腰へと回した佩は、金の小さなメタルを連ねたその途中、真珠の粒を連ねたチャームを片側に揺らして提げた、それもまた随分と珍しいだろう逸品で。白い手首には身動きのたびに涼しい音が立つ金輪を何連も嵌めているらしく、こちらに気づいて振り向いたその所作に、甘い香りがふわりとそよいだ。

 「あの…。」
 「これはそなたの荷か?」

 少し低くて甘やかな、蜜のようなお声がし、坊やは慌てて背条を伸ばした。優しい声で、なのに人を従わせるコツのようなものを染ませた口調が、まだまだ幼い少年へも十分に通じており。はいと頷けば、かづきとベールの隙間、わずかにそこだけが覗いていた目許が、はんなりと優しくたわめられ、

 「すまぬが私をこれへ隠して、外へ連れ出してくれまいか。」
 「……え?」

 使用人の女にならば、ついでの御用を言いつかることも多々あって。お使いにとひとっ走りして来て、そのお礼にという小遣いをもらうくらいなら、兄さんも大目に見てくれるけれど。どう見ても…全部がすっかりとは見えてはないが、それでも それでありながらでも、高価なものばかりをまとった“主人”格のご婦人に違いないくらいは判る。そんなお人を、しかも今の言いようだと自由には出られぬ身の人のようであり。だというに、外へ連れ出すだなんてこと、一介の水売りの、しかも使いっ走りがしてもいいことなのだろか。

 「あの…。」
 「そこの門を出るまででいい。人目のある中での出入りは止められておるのでな。」

 ああ やはりか、此処から出てはならぬお人か。装いや態度からは罪人には見えぬし、此処も檻のあるよな施設では無さそうだから。きっと傲慢な男主人に閉じ込められている、娘さんか奥方か。どんなに宝物を捧げられても気の晴れぬ、ある意味、捕らわれの身でいるお人なのだと気がついて。そうかそれで、この館はひっそりしていて、子供らからお化け屋敷扱いされていたのだな。ああ、そんなに寂しそうな眸をなさるな。こっそり泣いてでもおわしたか、その双眸は青く染まってしまってて。陽にあたらぬままでおいでだからか、ちらりと覗いた手の甲のなんとも白いこと白いこと。

 「………。」

 こきゅと喉を鳴らして息を飲むと、小さな坊やは辺りを見回し。それからそれから、急いで荷車から、乗せていた空の樽をうんしょうんしょと引っ張り降ろし、それらへと掛けていた陽よけの麻の大きな帆布、ばさりと広げるとご婦人へと手招きして見せた。

 「この中へ。」
 「隠れるのだな。」

 ふふと微笑った気配がし、そのまま衣紋の裾を品よく摘まんだご婦人、荷車の上へ上がり込むと、少年が懸命に支えて上げてくれていた帆布の隙間へと、その身を嫋やかにすべり込ませてしまう。子供とはいえ、既に何度もこの荷車は押していたし、幾つか積まれた満タンの樽に比べりゃあ、ご婦人の一人くらいは楽勝で押せる。最初はそろりと、それから少しずつ足並みを速めて。開けっ放しになってた通用門へと向かえば、

 「ん? 兄者はどうしたね。」

 来たときに通してくれた、雑丁だろう恰幅のいい男がそうと訊いて来たので、

 「んと、まだ中だ。俺は、忘れもんを取りに帰るんだ。」

 ああ、ぎこちなかったかなぁ。だって嘘なんて滅多についたことないもの。でもでも、か弱い女の人を助けるためなら構わないよね? じいっとおじさんのお顔を見上げておれば、

 「そうか、急いで戻って来いよ?」

 他人を邸内へ入れるからには、彼らが帰るまでは外せぬ立場。そんな仕事をとっとと終わらせたいか、そんな言いようをしたおじさんであり。うんと頷くと少々強ばってた肩を何度か上下させてから、えいと荷車を押し始める。荒れた庭なせいでだろ、門までの通路もなかなかに難路で。時々がったんと車が弾むと、坊やの胸もひやりと躍る。帆布の下にいるお姉さんは、怖くはないか、痛くはないか。ドキドキする理由が増えてしまい、さして距離はないはずなのに、途轍もなく遠く感じた通用門が、それでもあとちょっとで届くまでとなったそんな間合いへ、

 「儂の宝を、どこへ攫っていこうというのかの?」
 「……っ!」

 それはくっきりとした声が、間違いなくの坊や目がけて突きつけられたものだから。ヒッと喉と肩とを震わせてしまった少年だったが、荷車の柄だけは離さなかった。驚きのあまりに離していたら、反動で転がっていたかも知れなくて。強ばらせた手が震えていたけど、それでも離す訳にはいかなくて。

 「え、と…。」

 誰がどこからと、確かめたくて、振り向きかかったその視野の中。さっきまでは気づかなかった門の端に、一人の男が立っている。深い鋼色の髪は豊かに波打ち、屈強精悍な肩の後ろ、背中へまでと届くほど。不敵な笑みがいかにも相応しく、よほどのこと様々な修羅場に立って来たこと忍ばせる、彫の深いお顔には、陽に灼かれてのようよう色づいた肌がこれまたよく映えており。強い陽射しも砂嵐もものともせず、砂漠の空を勇壮に舞う鷲のように。揮発性の高そうなお怒りこそ発してはないけれど、その代わり、威容を備えた重厚さをまとったお人であるのが、子供にでさえ判るよな。逞しい爪でしっかと捕まえられてしまった、逃れようのないおっかなさを感じてだろう。ブルブルと震えている坊やなのを見かねたものか、

 「そのくらいで、勘弁して下さいましな。」

 帆布を下からめくり上げ、匿われていた婦人が姿を現して。この子は私の我儘へ、渋々と付き合ってくれただけ。そのように怖い目で睨んであげないで下さいましと。執り成している間も、何故だか微笑みは絶やさぬ后に、

 「…判った。」

 そうまでされては、王とて大人げない真似も続かないというもの。顎へとたくわえた濃色のひげを、節の立った指先でするりと撫でてから。小さな吐息を1つつき、怯え切ってた少年へ苦笑を見せての、許しを示してやった、沙漠の覇王様だった。





       ◇◇◇



 旅人からの情報集めや何やという、お忍びの外出のため、城塞の外へ大門を通らずとも出られるようにとしたのがこの屋敷。邸内の奥向きに地下道へと続く洞があり、そこを通れば大外の砂漠の端あたりへ出られるようになっている。宗主たる勘兵衛がわざわざそうまでして出歩く必要は、さすがに今のところは滅多にないのだが。となると、この屋敷の持つ、誰にも知られてはない素性というか肩書というか。人を寄せつけぬようにとばらまいた、様々な風評から生じたらしき神秘性が、いかにもな“隠れ家”という色合いを深めさせ。

 『キュウゾウ殿は、お連れになったのでしょう?』

 どういう趣向か、若い妃を王宮から連れ出して場末の館で更夜を過ごした王だと聞き及び。彼女だけとは不公平なと、自分からねだっておいてのこの運び。

 「一体 何がしたかったのかの?」

 そうまでして儂の手元から離れたかったかと。このところはねちねちと叱咤されるばかりだった王の側が、珍しくも問いただす側になって訊く。あまりに幼い子供だったからか、それとも…まさかにこうまで間近へ王族なんてな位のお人が降臨したまうなんて、想像すらしてはないものか。シチロージを攫われた姫くらいにしか思ってなかったらしい水売りの少年へは、苛めているわけではないから案じるなと何とか言い含め。兄の方へも…そちらはさすがに王の顔くらいは知っておったようなので、他言は厳禁と強めに言い置いた上で多めに報酬をやって帰らせてから、さてと。そろそろ涼しい風も入り込む、宵も間近な広間の奥向き。天蓋のついた寝椅子に座して、向かい合う熟年の夫婦であったりしたのだが。

 「さて、私としては何という目当てはございませんでした。」
 「…はぐらかすか?」

 さすがにムッとしたのか、眉間のしわが深まったカンベエだったが。そのくらいでびくつくほど、もはや初心な小娘ではない奥方。

 「いえ本当に。」

 ほほと小さく微笑う余裕つきで、そんな言いようを返してのそれから。

 「ただ。御主が執務をお持ちでございましたので。」
 「む…。」

 辛い戦さが滅多には襲わぬは重畳なれど、それならそれでという“管理・監督”系統への執務が王の職務に増えもして。昼のうちだ、それへと没頭されてもまま詮無いと、頭では判っていたものの、

  私の気配、どこまで離れれば気づいてくださるのかなぁなぞと、
  ふと思ってしまったのですよ。

 訥々と、というよな口調で紡いだ奥方の言いようへ。半ば呆気に取られたような、そんなお顔になってしまわれた王であり。それをちらと見やってから、

 「子供のするようなことでございましたな。」

 ちょっと拗ねてしまっただけ。御主を相手に、試したいなどという僭越な気持ちが沸くなんて、今日の私はどこかがおかしいようですと、肩を落として萎れるものだから。ベールも取り去っての嫋やかな姿。宵に染まりつつある黄昏の空気の中に、白く浮かび上がった月華のような存在は、その玲瓏さが可憐にさえ映っており。それが萎れてしまうのは何とも痛々しく見えてならぬ。日頃からも、気丈ではあれ、決して権高いわけじゃあない后であり。何とはなし寂しさがつのってしまっての、判りやすく構ってほしくなっただけのことかも知れぬ。

 「…、…カンベエ様?」

 后の白い撫肩の上、うなじ近くに結っていた、金の髪へと手を伸ばし。元結い引いてほどいてしまわれた御主。ぱさりと散った髪を、指先へと掬うようにしてさらさらと、何度かもてあそんで見せてから。

 「そう言えば。この頃ではゆっくりと語り合う刻をあまり持てなんだの。」
 「……はい。///////」

 思うところを探り合うことはあっても、自分の想いを告げ合うこと、久しくなかった二人だから。愛しいお人の姿を見るだけなのが、ちょっぴり寂しいと思った末に、追ってほしいと思ってしまったらしいシチロージであり。そんな后のかわいい駄々、応じてやらんでどうするかと。賢王ならずとも気づいて当然、きちんと心砕いて差し上げねば、罰が当たるやも知れぬ。そうさな、今宵は琥珀の酒はひかえるとしよう。るびいの果実酒 酌み交わし、遅くなるまで語らって。月さえ妬くよな蜜月夜を、甘く深く紡ごうじゃあないかと、奥方のまろやかな肢体を腕へと抱いて、それこそ甘く、くすすと笑われた王だったそうな。




  〜Fine〜  10.03.11.


  *何だか大変そうな、砂幻様に捧ぐ。

  *追記
   このお話に続く、アンサー篇を砂幻様に書いて頂きましたvv →

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